格付け会社の問題点と責任
サブプライムローンは債券化され、他の債券や投資信託など多くの商品に組み込まれていました。こうした金融商品に対して、甘い格付けを行って値段を吊り上げ、投資家の購買を誘っていた格付け会社の責任も、極めて重いものがあります。
ムーディーズやS&P(スタンダード・プアーズ)など、主要な格付け会社はすべからく、サブプライム関連商品に対して高い格付けを行っていました。しかし、サブプライムローンの焦げ付きが増えだし、問題が表面化し始めた2007年の秋以降、彼らは関連する金融商品の格付けを一斉に下げだしたのです。それも、通常ではありえないほどの格下げを。
これはあまりに無責任な対応です。彼ら格付け会社にとって、大手金融機関は大事な顧客(=大きな金づる)です。その為、大手の金融機関が販売する金融商品なら甘い格付けを行うという「手心」を加える動きが出るのも、ある意味自然な流れです。
自身の利害が絡むからだったのか、それとも本気でサブプライム商品が安全で健全なものだと評価するほど無能だったのか…、いずれにせよ、格付け会社の不適切な評価がサブプライムローンの危険性をうやむやにしたことは事実です。
確かにサブプライム関連商品を販売した金融機関が、根本的な原因を作った点で悪いのですが、「公明正大」が不可欠な格付け会社が、それを守らなかった責任はさらに重いはずです。投資家はそれを頼りに金融商品を買うのですから。
格付け会社の不誠実な査定
格付け会社の発表する格付けの公正さや正確さには、以前から疑問の声が挙がっていました。企業から金を貰って、その会社や金融商品を格付け審査をするシステムは、どう考えても厳格で正当な評価が出るはずがありません。
格付け会社の問題で日本で有名になったのは、2002年度にムーディーズが日本の国債をボツワナ国債よりも低い評価をしたことでした。いくら先進国最大の借金(赤字国債)を抱えているとはいえ、世界第二位の経済基盤を持つ日本より、GDPが日本の500分の1程度でしかない超小国のボツワナを上に格付けすることは、常識的に考えてありえません。
ボツワナ程度の経済基盤なら、周辺諸国の情勢ひとつで経済破綻してもおかしくありませんが、日本が破綻することはありません。なぜなら、日本の赤字国債はほとんどが日本国内で購買されており、外貨建ての債務はほとんどないからです※注。
国債の格付けは、企業格付けのような「手心」を加える下地(金儲けできる要素)はありませんから、格付け会社も詳しい分析をする手間を放棄して、適当に経済の数字だけ見て評価しているのでは?と思わせる位に不自然な格付けです。
※注 日本の借金はほとんどが日本国民からのもので、これは例えるなら「家族マージャンでの貸し借り」のようなものです。その気になれば政府が紙幣を大量発行して返済する荒業が可能なので、デフォルト(債務不履行)を避けられるのです。
かつてのアジア通貨危機やブラジルの経済危機、アルゼンチンのデフォルトなどは、全て外貨建ての借金があった為、紙幣を新規発行して返済するという最後の荒業が使えなかったのです(紙幣を大量発行すればその国の為替レートが暴落するので、外貨建ての債務は減らない)。
無論この荒業も問題点だらけですが、少なくとも日本の赤字と経済破綻したアルゼンチン等とでは深刻度がまるで異なり、日本がそう簡単に経済破綻しないことだけは確かです。
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